GPT-6 Astra を使ってみた最初の数日。GPT-5.6 Solとの違い、正直どうなのか
OpenAIの新フラグシップ GPT-6 Astra を公開直後から触ってみた所感です。GPT-5.6 Solとのベンチマーク・料金・トークン消費量の比較、Claude Fable 5との違い、そしてサイバーセキュリティで「Critical」判定を受けた話まで、エンジニア目線でまとめます。
👀 結論から
「今はGPT-6 Astra出てるでしょ?」と聞かれて、正直まだ触り始めて数日というのが本音です(^^;)
なので今回は**「1ヶ月使い込んだレビュー」ではなく「公開直後の数日で分かったことの整理」**として書きます。
先に結論だけ言うと、ベンチマーク上の性能は明確に上がっているのに、タスクあたりのトークン消費量は減っているという、ちょっと意外な組み合わせでした。
そのぶん1トークンあたりの単価は上がっているので、「速くて安い」を期待していると肩透かしを食らいます(・_・;)
あとサイバーセキュリティの話も避けて通れないので、エンジニア目線で気になったところを整理していきます。
💡 GPT-6 Astra とはなにか
GPT-6 Astraは、OpenAIが2026年9月3日に一部の承認済みユーザー向けに公開し、9月4日に一般提供を始めた最新の主力モデルです。
公式は「world’s most intelligent and aligned model(最も知能が高く、最も整合性の取れたモデル)」と表現していて、なかなか強い言葉を使ってきたな、という印象でした。
大きな特徴は、チャットモデルというより「コンピュータを操作するエージェント」として設計されている点です。
- コンテキストウィンドウは約1.1Mトークン(マルチモーダル対応)
- ブラウザ・スプレッドシート・デスクトップアプリ・ターミナルの操作を人間に近い形で自律的にこなす
- Codex側には「複数のコンテキストウィンドウをまたいで過去のメモを検索できる」新機能も追加された
提供範囲もChatGPT Plus/Pro/Business/Enterpriseだけでなく、OpenAI API・Microsoft Azure・AWS Bedrockまで一気に広がっていて、最初から本気で企業利用を狙っている構成だなと感じました。
エンタープライズ管理者は初期状態でAstraが無効になっていて、手動で有効化しないと使えない設計になっているのも、後述するセキュリティ分類と関係していそうです。
📊 GPT-5.6 Sol との比較(性能とトークン消費量)
ここが一番気になっていたところだと思うので、公式発表とベンチマーク集計サイト(Artificial Analysis)の値を並べてみます。
| 項目 | GPT-5.6 Sol | GPT-6 Astra |
|---|---|---|
| Artificial Analysis Intelligence Index(max) | 47 | 53 |
| ExploitBench | 78.5% | 100% |
| Agents’ Last Exam | 53.6% | 59.3% |
| 入力料金 | $5.00 / M tokens | $10.00 / M tokens |
| 出力料金 | $30.00 / M tokens | $50.00 / M tokens |
見て分かる通り、トークン単価は入力2倍・出力もほぼ1.7倍に上がっています。
ただ公式・第三者ベンチともに面白いのが、タスクを完了するために使うトークンの総量自体は減っているという点です。
公式発表では、OSWorld 2.0(コンピュータ操作系のベンチマーク)でGPT-5.6 Solよりタスクあたり約47%短い時間で完了したと説明されています。
さらにArtificial Analysisの計測では、max effort設定でAstraが使う出力トークン数はSolの約1/3というデータも出ていました。
つまり「単価は上がったけど、同じタスクをこなすのに必要なやり取りの回数・トークン量自体が減っている」ので、トークン消費量(コスト)の実質的な差は単価の見た目より小さいというのが今のところの理解です。
ここは公式の計測条件(effort設定やタスクの種類)に依存する部分も大きいので、「うちのワークフローだと本当にどうなのか」は自分の環境で試すまで確定させない方がいいと思っています。
一方で速度面は、公式の計測値ではGPT-6 Astra(max)が59.8 tokens/秒、GPT-5.6 Sol(max)が58.8 tokens/秒とほぼ横並びでした。
ただ最初の応答が返ってくるまでの時間(Time to First Token)はAstraの方が長い、という報告もあり、**「出力速度は同じくらいだけど、考え始めるまでの待ち時間が伸びている」**感覚は実際に触っていても感じました(´・ω・`)
🤖 Claude Fable 5 とはどう違うのか
Claude Fable 5(正確にはFable 5.1)との比較も、公式発表で名前が挙がっていたので気になって調べました。
Artificial Analysisの集計だと、単純な「どっちが強い」では言い切れない結果になっています。
- コーディング系の個別ベンチ(Terminal-Bench 4.0、DeepSWE v1.1)はAstraが上(57.7% vs 55.8%、74.1% vs 67.4%)
- ただしAstra・Fable両方を組み合わせた「Coding Agent Index」ではFable 5.1が67に対してAstraは70という逆転した集計も存在する
- コードの読解・デバッグ・既存プロジェクトの保守が中心ならFable 5.1の方が向いているという評価も見かけた
- 料金は1Mトークンあたり実質コストでFable 5.1が$7.17、Astraが$7.70とほぼ同水準
正直、この辺りはベンチマークの取り方次第で順位が入れ替わるくらいの僅差だと思っています。
「AstraがFable 5を上回った」という公式の見出しだけを見て決め打ちするのは早計で、自分が実際にやらせたいタスクの種類で選ぶ方が実務的だなと感じました。
⚠️ 「Critical」サイバーセキュリティ判定という話
ここはエンジニアとして一番引っかかったところです。
OpenAIは今回、GPT-6 AstraをPreparedness Framework(自社の安全性評価基準)のサイバーセキュリティ項目で「Critical」に分類したと発表しました。
Preparedness Frameworkのリスク段階はlow・medium・high・criticalの4段階で、GPT-5.6 Solまでは「high」止まりだったのに対し、Astraが初めてcriticalに達したことになります。
「Critical」の定義は、公式によれば「人間が手順を細かく指示しなくても、防御の固いシステムに対して未知の脆弱性を発見・悪用できる」レベルとされていて、安全性テスト中に実際に未知のゼロデイ脆弱性を2件発見・悪用したという報告もありました。
これを受けてOpenAIはエンタープライズ向けにAstraを初期状態で無効化し、管理者が手動で有効化する運用に変えています。
正直「攻撃力が高いから危険」というだけでなく、同じ能力を防御側(脆弱性診断・パッチ適用の自動化)に使えるという裏の意味もあるので、一方的に怖がる話ではないと思っています。
ただ社内で本格導入を検討するなら、セキュリティ担当と**「このモデルにどこまでの権限とアクセスを渡すか」を先に決めてから使い始める**のが安全だと感じました。
✨ 実際にどう使っていくか
まだ数日なので「これが正解」というほどの結論は出せていませんが、今のところの使い分けはこんな感じです。
- 長めのコードレビュー・複数ファイルにまたがる改修の下調べにはAstraをまず試す
- ピンポイントで「この関数だけ直したい」ような小さい作業は、単価の高いAstraよりこれまで使っていたモデルのままでいい
- ブラウザ操作やフォーム入力のような定型のエージェント作業は、コンピュータ操作に強いAstraの得意分野なので任せてみる価値がある
私の場合、最初にAstraへ振ったのは「複数の設定ファイルを見比べながら移行手順を整理する」という作業でした。
1.1Mトークンのコンテキストウィンドウのおかげで、いくつかのファイルを一度に渡しても途中で文脈を切り詰められる感覚が少なく、やり取りの往復自体は減ったという体感はありました。
ただ「Critical」判定の件もあるので、社内の機密性が高いリポジトリや本番の認証情報が絡む作業は、まだ様子見にしています(・_・;)
🪞 自分ごとに置き換えて考える
ここまでの数字を、自分のチームに当てはめるとどうなるか、少し考えてみました。
もし今GPT-5.6 Solを使っていて満足しているなら、すぐにAstraへ乗り換える必要は正直ないと思います。
単価が上がったぶんはトークン消費量の減少でおおむね相殺されるという話でしたが、それでも「タスクの種類によって効き方が違う」ため、コスト面で確実に得をするとは言い切れません。
一方で、ブラウザ操作やコンピュータ操作を絡めたエージェント的な作業を増やしたいと思っているなら、Astraのコンピュータ操作性能はSolより明確に上がっているので、試す価値はあると思います。
コーディング用途だけを見ているなら、AstraとClaude Fable 5.1の差は今のところ僅差なので、すでにどちらかを使い慣れているなら乗り換えずに使い続けるのも十分合理的な判断です。
私自身は、これまで複雑な設計判断はGPT系、コードの細かい修正はClaude系、というふうに用途で分けていたんですが、今回のAstraの登場でその線引きを見直す必要があるかもしれないと感じています。
もう少し使い込んでから、改めて「実際どっちに寄せたか」を書きたいと思います。
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🙌 まとめ
GPT-6 Astraは、公式発表・第三者ベンチマークともに性能面での上積みは確実にあるモデルでした。
- Artificial Analysis Intelligence Indexで47→53、ExploitBenchで78.5%→100%など、GPT-5.6 Solから明確に上昇
- 入力・出力の単価は上がった(入力$5→$10、出力$30→$50)が、タスクあたりのトークン消費量自体は減っているという報告がある
- Claude Fable 5.1との差は指標によって順位が入れ替わるくらいの僅差
- サイバーセキュリティ項目で初めて「Critical」判定を受け、エンタープライズでは初期状態が無効化されている
まだ公開から数日のモデルなので、今回書いたのはあくまで公式発表の整理と触り始めての所感です。
「今すぐ全部乗り換えるべきか」までは断言できませんが、コンピュータ操作を絡めたエージェント用途を検討している人は、触ってみる価値は十分あると思います👍
※ モデル名・料金・ベンチマークは今後も更新される可能性があります。最新情報は OpenAI公式サイト をご確認ください👀